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日本列島波高し~元海自幹部のエッセイ~ >> 日本, 自衛隊 >> 自衛隊は国軍に ~憲法改正についての私見~

2006年09月30日

自衛隊は国軍に ~憲法改正についての私見~

 前原氏の民主党党首への就任を受けて、憲法改正が現実味を帯びた話題に上
りはじめました。今まで日本に健全野党の育たなかった大きな理由の一つは憲
法問題にあったでしょう。その主張はイデオロギー的空想に囚われたもので現
実の政策としては全く無力でしたね。


 国際紛争は一度こじれると傷が深くなります。どちらも国民世論を背負って
いて後に引けなくなるので、外交による初期消火が大切です。

でも、およそ外交交渉においては迫力を伴う真剣さが相手に明白に伝わらなけ
ればなりません。「力無き正義は空虚であり、正義無き力は暴力である」と言
う先人の言葉のとおり、相手が軍事力を笠に着て「押せ、押せ」でことに当た
ろうとしているとき、単に徒手空拳で話し合いを申し入れても、相手国側には
妥協のメリットが全く見えないので初期消火になりません。

時間稼ぎをされ、既成事実を作られたうえ、こちらが譲って引き下がるのが関
の山です。過去の拉致事件や今回のガス田などはその典型ですね。


 国際社会は西部劇やヤクザの世界と同じです。
口では美辞麗句で建て前を言っていても、実際の行為は「拳骨をポケットに忍ば
せた国益エゴのぶつかり合い」です。警察や裁判所は無いに等しく、法律(国際
法や国際慣例)は弱者を救うように出来ていないうえ、不備だらけ、抜け穴だ
らけ。いくらでも強者の横車が通用する世界です。

沖ノ鳥島を岩と言うなどその典型例ですね。暴力には腕力を以て対抗する気概
があるとき、そのときだけ、お互いに納得のいく話し合いも成り立つのですね。
我が国でも自衛隊や海上保安庁のように「法的に半端なもの」ではない正規の
軍備を整え、常に「警戒、監視」を怠らず、TPOを勘案して効果的、効率的
に運用したいものです。


 さて、11月には自民党の憲法改正案が出され、政界でも憲法改正がやっと
まともに議論できる?環境になりそうですが、今までの論議が大きく歪んでい
たのでその後遺症が心配です。例えば、半年ほど前に自民党の舛添要一参院議
員などが主になって新憲法案の「たたき台」なるものを作り上げましたが、そ
れには「“自衛軍”を保有する」と書いてありましたね。正直、あの案にはガ
ッカリしました。

英語では「軍」も「隊」も同じForceです。
これまで"Self Defense Force"と言う弁解じみた名称でどれだけ惨めな思いを
してきたことか・・。
例え憲法改正なって海軍が復活しても“Self Defense Navy”では「うれしさ
も中くらいなり自衛軍」ですね。

将士の士気の上がらないような名称をわざわざ用いるなど愚策です。やはり小
泉首相のコメントのとおりに、無用な形容詞などの付いていない「国軍」でな
くては、と強く感じています。

 憲法の中で「軍隊の名前」に形容詞がわざとらしく付いているのは共産国だ
けではないでしょうか。人民軍、解放軍、赤軍、革命軍、等々ロクでもない名
前ばかりで、みんな国家より党が優先し、その党を守る“ヤクザの用心棒”軍
ですよね。

 詳しく調べたわけではありませんが、普通の国の憲法には「軍隊を保有する」
なんてわざわざ書かれていないように感じます。警察と消防を持つ、とは書か
ないのと同じことで、大抵の国の軍隊は憲法などが生まれるより遙か昔からそ
の国にあったからです。

特殊な「わけあり」のドイツやスイスの憲法には軍備保有が明示的に書かれて
いますが、これは新規に兵役の義務を定めたため、及び永年の伝統を曲げて常
備軍を保有するためで、やむを得ぬ例外です。

民主党の前原氏が主張するように、9条2項を削除さえすれば、あとは軍関係
法令の整備で済むことで、わざわざ憲法に記す必要はありませんね。同様に集
団的自衛権も国連憲章に記されている世界の常識であり、わざわざ憲法に明示
する必要はないと思われます。

 そればかりか、法律のレベルでも現在の自衛隊法や防衛庁設置法のように
「やること」「出来ること」を法律として泥縄的に書き加えるのでなく、臨機
応変に国難事態に対処できるよう、最高指揮官からの命令の形にすべきです。

軍隊の本質は「国内法の機能し得ない場面で活動できる」ことにあります。
「軍隊の行動を規定するものは最高指揮官の意志と確立された国際法のみ」で
す。

法律でがんじがらめにしたのでは単に「看板を変えただけの自衛隊」ではない
でしょうか。


以上、ヨーソロの管見でした。


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