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日本列島波高し~元海自幹部のエッセイ~ >> 軍事 >> Plug and Play

2006年04月16日

Plug and Play

●米海軍のHPに以下のような記事がありました。
『「ステザム」と「日本海軍」、空母「リンカーン」と初顔合わせ』

【概略】

・3月26日、米空母「エイブラハム・リンカーン」が日本近海にやってきた。
・わが海自のイージスDDG「きりしま」、DD「はたかぜ」「はるさめ」、そして米海軍のイージス駆逐艦「ステザム」は、相互慣熟訓練の一環としてリンカーンの護衛任務に加わった。
・対空戦指揮などでわが海軍が示した能力の高さに、米側は驚きを隠せない。

【ヨーソロ様による解説】

「おそらく “Plug and Play”(原文中にあることば) は業界用語ではなく、単に今回の訓練の比喩としてIT用語が使われたと考えます。

空母リンカーンは搭載された第2空母航空団とともに始めて日本近海の西太平洋に進出したので、相互慣熟訓練として第7艦隊第15駆逐戦隊(駆逐隊群と訳した方が一般的かも知れませんが、私は“群”という語が余り好きではありません。群れは軍隊に相応しくないと感じています)のDDG×1隻と海自の護衛艦× 3隻が護衛の任務に加わって、相互に慣れようとしたのでしょう。

特に、“ADC”と言うのがありますが、これは空母戦闘部隊の担当空域の中にあって防空に関する責任を任された分掌指揮官の役です。

空母部隊の全般指揮官はもちろん第2空母航空団司令ですが、対潜、対空、対水上のそれぞれを部隊の中で最もその役割に相応しい装備と能力を有する指揮官に分担して任せて代理統制させ、やむを得ず制止を掛ける必要のある場合だけ自分がオーバーライドして指揮権を発動します。

つまり、部隊内の各艦艇長は、対空戦闘については対空戦指揮官の、対潜戦闘については対潜戦指揮官の、と言うように複数の指揮官から統制を受けるわけです。

この各種戦指揮官分担方式が始められてから既に約20年になりますが、猛訓練による部隊内での慣熟と相互信頼が無ければ成り立ちません。

海自や第7艦隊の護衛艦艇も、キティーホーク空母戦闘部隊としては相当に「ツーカー」になっていますが、リンカーンとはお互いに初顔合わせです。
今回護衛部隊として文字どおり“plug in”して“play”させてみたら、海自の練度の高さに驚いた、と言うことでしょう。

長い間、海自部隊は日米共同訓練でも対潜戦指揮官だけを任される時代が続きました。対潜戦については米軍も一目置いていたからです。
しかし、空母部隊の対空戦は間違えると「味方撃ち」を起こす恐れもあり、海自にイージス艦が出来るまで対空戦指揮官は海自に任せられませんでした。

この記事によれば、イージスDDG「きりしま」座乗の海自側指揮官がその対空戦指揮官を任されたのでしょう。
今では防空能力でも世界一流のイージス艦を擁した海自指揮官がその任務をアサインされるようになっているわけで、私もこの記事を読んで今昔の感慨があります。

以上、ヨーソロの管見でした。


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